小説「背中、押してやろうか?」あらすじを紹介!衝撃的でオススメ☆

背中、押してやろうか?- 漫画・無料試し読みなら、電子書籍ストア BookLive!
【試し読み無料】連鎖する、事故なのか自殺なのかわからない同級生の死、親友の不登校、そして突然始まった「ぼく」へのいじめ。この中学校でなにが起こっているのか?小説推理新人賞作家が、みずみずしい筆致で描く青春ミステリー。

最初はこの本の爽やかな印象の表紙に惹かれて手に取りました。そのタイトルから、友情を描いた爽やかな青春物語と思っていました。
しかしその印象は見事に裏切られる内容でした。辛くて胸を掻きむしられて……
だけど、そんな辛い内容ながらも読む手が止まりませんでした。
誰もが覚えのあるはずの中学生時代の感情。正しいと信じたらそれに歯止めが利かなくなる危うさ。それと同時に存在する理由なく周りに反抗したくなる衝動。
明るい青春は飽き飽きだ!あの頃あったはずの危うさと紙一重の感情を思い出したい大人、最近ハッピーエンドの物語に飽き気味な方に読んでもらいたい作品です。

作品の紹介


2017年12月20日出版 双葉社

作者紹介

悠木シュン(ゆうきしゅん)
1980年生まれ。2013年「スマートクロニクル」で第35回小説推理新人賞を受賞。
2014年「スマドロ」でデビュー。ミステリーを中心に執筆。最新作は2019年出版
「君の××を消してあげるよ」

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

主人公・平一平(たいらいっぺい)は普通の中学生。平穏だった彼の日常はある日突然終わりを迎える。
ずっと不登校だったクラスメイト・久佐井繭子(くざいまゆこ)の出現。
ある日始まった一平への突然のいじめ。
街で起こる謎の鳩の大量死事件。そして一平の学校で起こる同級生の謎の事故死。
いくつもの出来事が重なる中クラスの中でただ一人、一平に接近してくる繭子。
たった二人の反抗は蝶の羽ばたきのようにクラスに少しずつ影響していく。
終わりの見えないいじめの日々の中で一平が知る真実とは。

主人公へのいじめがとにかく酷い

この作品は「いじめ」を題材にしています。かなり思い切った題材だと思います。
物語のほとんどの部分を一平に対するいじめの描写が占めます。机の上に置かれた一輪挿しを皮切りに、机の中に汚いものをいれられたりカツアゲ、暴言や挙句の果ては暴力を振るわれたり……
間違っても読んでいて気持ちのいい作品ではありません。ですが、その状況に耐えているうちにいつしか冷めて目で状況を見るようになる一平。皮肉ですが、いじめの中で強くなる一平の心の様子が物語を読み進められる一つの要素になっていました。
そんなに騒ぎ立てるような描写が無くて、どっちかと言うと淡々と一平が生活しているように描写されているのですが、それが却ってリアリティを醸し出しています。文章の行間の隙間に描かれていないいじめもあったのではないか…… 
そういう所を想像しながら読んでみて欲しいです。

周囲の人間の頼りなさと逃げ場のない恐怖

一平の家族は一平に関して無関心でいじめられていることに全く気が付きません。
一平自身、家族を全く頼りにしていないため一平には味方と呼べる人がいません。
学校の教師も頼りになりません。
唯一の親友はとある理由で不登校になっています。
いじめの理由もわからず、孤立無援にいじめに耐える一平。こうした逃げ場のない状況で理不尽に襲ってくる出来事の恐怖は、殺人鬼が登場して理不尽に追いかけてくるホラー映画を彷彿とさせる怖さを感じます。
この小説にはもちろん怪物は登場しません。だけど、逃げ場のない閉ざされた学校という空間で延々と暴力を受けたり酷いことをされたりってこれはもうホラーだと思います。
凄く極端な見方になってしまいますが、今何か嫌な思いをしている方に読んでみて欲しいです。フィクションとはいえ、一平の置かれた状況に比べたら自分の方がまだマシだときっと感じられると思います。

同級生の事故死の謎を追うミステリー

いじめを題材にした作品ですが、縦軸を貫くのは一平が同級生の事故死を追うミステリーです。様々な伏線が張り巡らされており、その辺りは作者である悠木シュンさんの他の作品でも見られる巧みさを感じることができます。
一平が名探偵のごとく推理を発揮する…… といった感じではないのですが、謎を解くというよりも謎を追いかけるといった形で一平の感情と供に物語を読み進めていく印象です。
現実的に中学生で大人顔負けの推理をする人ってほぼいないでしょうし、第三者として事件を考えるのではなく主人公に入り込んで事件を追体験していきたいと考えている方にはお勧めです。
一平のいじめを受ける描写は辛いのですが、このミステリーの要素があるのでこの先はどうなるのかという「楽しみ」を持って作品を読める要素もあります。

謎を秘めたヒロイン繭子


一平のクラスで唯一いじめに加担せず接するのがヒロインの繭子です。不登校だった繭子が学校に戻って来るところから一平の周囲は変わりだします。
繭子もまたいじめを受けています。しかし、そんなことは全く意に介していません。繭子は一平に接近していきます。その中で生まれる二人の交流。次第に繭子のことを意識し出す一平ですが、繭子は何を考えているのかわからない不思議な行動を繰り返します。繭子が秘めた謎とは、この交流の果てに待つものは希望かそれとも……それは是非自身で確かめてみてください。
それにしても、謎を秘めた女の子って何で惹かれるものがあるのでしょうね?
特に男性なら身に覚えがあるかもしれないけど、クラスの中で中心にいるような明るい娘より少し目立たないちょっとミステリアスな娘が気になって、その娘が大きな秘密を抱えていて自分がそれを知ってその娘を守る…… みたいな妄想をしたことがないでしょうか?
学校物のミステリアスなヒロインは永遠の憧れです。

作品が訴えるもの


「いじめ」というふみこんだ題材を扱った本作。いじめの行為の残忍さは許されるものではありません。しかし、この作品からは単純な「いじめはいけないよ」という主張ではなく、いじめの加害者と被害者が逆転する可能性があることも示唆されています。
同時に、思春期の理由のない行動や純粋さ故に歯止めが利かなくなる怖さも。きっかけは本当にささいなものかもしれない。だけどそれが蝶の羽ばたきのように広がって取り返しのつかない事態に発展していく。
この作品を大人の目から読むと、学校という閉ざされた空間にいる子どもたちに対して大人というものがいかに無力なのか考えさせられます。

「背中、推してやろうか?」口コミや評価

まっすぐ過ぎる感情って方向を間違えたら本当に恐ろしいものだと思います。色々な作品で「迷わず真っすぐ進め」ということが肯定されているけど、それも人と場合を選ぶことをこの作品を読むと考えさせられます。バランスをとることって本当に大事なことで、陽性の物語ばかりでも陰性の物語ばかりでも見えてこないものがある。
明るい話が読んでいて楽しいのは確かですが、それでもたまにはこういう暗い小説を読むのも悪くないと作品を読んで思えました。

まとめ

ミステリーにいじめという難しい題材をミックスした本作。とにかくある意味「覚悟」を決めて読んで欲しい作品です。いじめられた経験のある方や今現在、中学生のお子さんのいらっしやる方には読んでいて辛い物語かもしれません。
決していじめに具体的な解決法を提示している作品ではありませんが、この作品を読んで自分自身が思春期に感じていた「感覚」を思い出すことで、その年代の子たちの考えや感情について考えるきっかけの一つになるのではと思います。

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【試し読み無料】連鎖する、事故なのか自殺なのかわからない同級生の死、親友の不登校、そして突然始まった「ぼく」へのいじめ。この中学校でなにが起こっているのか?小説推理新人賞作家が、みずみずしい筆致で描く青春ミステリー。

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